SOCスケール得点の意味について

看護の院生への統計の授業も佳境に入って来ました。2変量間の検定についてなかなか理解していただけなかった学生さん方が、多変量解析の話には大変に食いついて来ていて、不思議です。やはり看護系の方々は人間を様々な側面から理解し関わっていくことに元々…

検定についてわかってほしい

健康教育学会関係の記事を書きたいところ、明日の授業の準備と、書籍の準備とに追われています。 なかなか統計学的検定について理解がしてもらえず、四苦八苦しています。 看護系の方たちを対象としている授業なので下手に日本語でわかりやすく説明しようと…

健康教育学会

昨日、今日と福岡で健康教育学会が行われていました。 ウェルビーイングにかんするテーマでグループワークを基調公演の代わりに行ったりラウンドテーブルディスカッションが多くあったり福岡大学の守山先生が大会長をされた5、6年前からずいぶん独特の雰囲…

SOCの重要性

6月になってからと言うもの、忙しさにかまけて更新が遅れておりました。修士の院生を受け持っている関係でそのゼミがあったり、他大学の大学院の授業を受け持っていたりで、準備をしていたり、あとは、放送大学の教材作成の会議があったり、他にもいくつか仕…

レジリアンス(resilience)とsense of coherence

3月に引っ越しをして以降、ちょうど引っ越しが震災と重なったこともあり、また、新しい職場に着任して以降も落ち着かなくて思うように自分の研究に集中できず、それに平行してsense of coherenceについて考えたり調べたりする意欲が全く湧かず、このブログ…

SOCが持つストレス対処機能

SOCが持っているストレス対処能力について、元々この概念自体はアントノフスキーが強制収容所体験の人たちをヒントに考えた概念であるので、こうした過酷な経験をした場合に意味を持つのであって、普段の生活の中でどこまで意味があるのか分からないというよ…

保健医療社会学会

先日日本保健医療社会学会に参加してきました。保健医療社会学会はかつては旧健康社会学教室、さらにさかのぼって旧保健社会学教室が中心となって運営されていたこともあり、研究室の先輩や後輩も多く参加しており私も院生の頃から何度も発表をしている学会…

難しいことはやさしく

現在、今夏から秋にかけて刊行する予定の高校生のSOCに関する本の執筆を行なっています。これは、私が博士課程2年から3年生のときに計画したある高校の全生徒と保護者を対象として3年間追跡するという縦断調査データの報告という位置づけで、山崎先生に背中…

SOC研究会のスタート

あっという間に時間が過ぎ、もはや4月も終わりに近づく勢いで驚いています。。今月はほとんど更新することができませんでした。 23日にSOC研究会がありました。山崎先生は元気そうに参加されていました。 前に東大でやっていた時とメンバーはほとんど変わら…

査読あれこれ

4月1日より放送大学に異動をしました。3月10日から東京に来ているので、その間に地震騒ぎがありましたが、ようやく家のほうは落ち着いてきました。職場のほうは今週はじめに山口から一挙に荷物が届き、その整理に追われていました。部屋の整理もすすみ、今度…

SOC資本?(2)

SOC資本の話の続きです。 当時資本論は少しかじった程度で、社会関係資本については全くもって知らなかったのですが、良く知らないと言うことは逆に知識に束縛されずに、いろいろ自由な発想ができて良いなあとも思います。かなり恥ずかしい話なのですが、…

SOC資本?(1)

私が修士課程に進学した年に、そもそも健康社会学という学問自体がどのようなものなのか良くわからなかったので、学部3年生向けの健康社会学と言う授業に参加しておりました。 山崎先生と田村誠先生が授業を担当されていて、その年に刊行予定の健康と医療の…

sense of coherence研究の広がり2

研究室の引っ越し作業もたけなわで、明日午後の引っ越し業者の訪問に向けラストスパートをしています。。といいながらこのようなことを書いています。私が大学院に入学した当初東大の山崎研究室内ではSOCの研究はあまり行われておらず、SOCは難しいから、と…

sense of coherence研究の広がり

山口大学での教員生活もあとわずかとなり、様々な関係の人たちから歓送会を開いていただき本当に幸せものだと思っています。 山口に来て驚いたのは、SOC研究を知っているどころか関心を持って実際に研究をしている先生方が多くいることでした。東大にいたと…

sense of coherence得点の高低の考え方

以前にも書いたかなと思っていたのですが、書いていないようでしたので、このタイトルについて書こうと思います。と言うのも、このことについても非常に多くの質問が来るからです。 似たような内容は、以下です。 http://d.hatena.ne.jp/ttogari-tky/2010122…

sense of coherence とhealth literacy

現在再び放送大学の「市民のための健康情報学入門」なる教材の作成に追われています。聖路加の中山先生と二人で主任になっているのですが、中山先生のご研究?のお手伝いでHealth Literacyについては多少勉強はしたものの、非常に奥が深い分野で私自身全く持…

Antonovskyのsense of coherence スケールとネガティブ感情

2月5日のSOC研究会において、以前にタイトルだけとりあげた文献を紹介しました。 http://d.hatena.ne.jp/ttogari-tky/20110113/1294895680 レジメは以下です。 2011年2月5日SOC研究会.pdf 以前、Gayerという人(ドイツの多分医療社会学者)が1997年に指摘し…

山崎研究室とSOC研(2)SOC研の今後

SOC研究会という研究会が私が院生でいたときから月に1度、最近は2月に1度行われていました。当初は私と、もう一人同期の住川陽子さんの修士論文がSOCを扱った研究でその2つの研究をブラッシュアップしていくために、研究を報告したり文献を報告したりす…

山崎研究室とSOC研(1)研究室の伝統

1月は上旬に高熱と咳が出る病気(インフルエンザと思ったのですが、医者は特に何も言われなかったのですが)に侵され、死にそうな日々が続き、下旬には聖路加の中山和弘先生が編者となっている教科書の執筆があったり、その後さまざまな締め切りが押し寄せ…

3項目版sense of coherence(SOC3-UTHS)の使い道

SOC3-UTHSの使い道としては、以下の5つが考えられます。 大規模多目的調査の中に入れてもらいたい・・・当初作った目的はこのためでした。 高齢者のSOCを測りたい・・・13項目でも高齢者は途中で嫌がってしまうことが多いそうです。半分も答えてくれなくてSOCを欠…

3項目版sense of coherence尺度の作成プロセス

新年が明けて、昨日から出勤し、じわじわと様々な仕事の存在が明らかになってきて、意外と忙しいことに気付きつつあります。年末年始は連日連夜色々あって、この日常とは明らかに別世界のようであったとつくづく思います。さて、3項目版のスケールの開発のプ…

3項目版sense of coherenceの開発

現在社会科学研究所で行っている全国パネル調査に載せていただく目的で3年前に3項目版のSOCスケールの開発を行いました。 当初私自身、こういった超簡略化スケールの開発にはあまり乗り気ではなかったのですが、様々な事情でしぶしぶ開発に乗り出しました。…

sense of coherenceのスケールとしての位置づけ

ここ数年の間コンスタントに質問が来るのが、以前にも書いたSOCの下位尺度別での検討ができるか、という点と、sense of coherenceは何点以上だと良いのか、という、ある種のスクリーニングツールとしての位置づけがどうなっているのか、という質問です。psyc…

論文の校正と修正

今年の春先に投稿した論文がアクセプトされ、現在校正作業を行っています。Health Promotion Internationalという雑誌に投稿し、高校生を対象とした3年間の縦断調査のうち、初年度の親子のペアデータを用いた報告になっています。 実に単純なモデルで、親のS…

SOCへの介入研究

先日東大で行われたSOC研究会で Forsberg KA, et al., Influence of a lifestyle intervention among persons with a psychiatric disability: a cluster randomised controlled trial on symptoms,quality of life and sense of coherence, Journal of Clin…

SOCの因子構造再論

ようやく週末に学会が終わり、ホッとしています。 総勢250名の参加で、地方会でありながらもやや規模が大きく、当日の学会運営はもとより、この半年間、特にこの2カ月は準備が大変でした。これでようやく自分の研究に打ち込める、と思っています。 さて、最…

sense of coherence スケールの下位尺度別の利用について その2

SOCスケールの下位尺度別の利用については、因子構造や内的妥当性のレベルでは可能であるという点について述べました。 しかし、そもそも下位尺度別に使用する意義がない限りにおいては検討しても仕方ないわけです。何でもかんでも下位尺度別、という訳では…

sense of coherenceスケールの下位尺度別の利用について

SOCスケールを下位尺度別に使用できるのか、という質問を良く聞きます。先日の公衆衛生学会の自由集会でもでましたし、昨年の学会でも出ましたし、私が以前に発表した学会でも下位尺度別にどうなっているのか、という質問を何度もうけました。 答えは可、で…

SOCと事故の関係

先週金曜日に事故予防ということで、中学生向けにSOCについての講演をしてきました。 ちょっと難しかったかなと思いつつも、それなりに内容は充実していたと思っています。結局のところ、事故の要因と言うのは、感情コントロールの問題(処理可能感)や、精…

SOCと事故の関係

先週金曜日に事故予防ということで、中学生向けにSOCについての講演をしてきました。 ちょっと難しかったかなと思いつつも、私個人ではそれなりに内容は充実していたと思っています。結局のところ、事故の要因と言うのは、感情コントロールの問題(処理可能…