レジリアンス(resilience)とsense of coherence

3月に引っ越しをして以降、ちょうど引っ越しが震災と重なったこともあり、また、新しい職場に着任して以降も落ち着かなくて思うように自分の研究に集中できず、それに平行してsense of coherenceについて考えたり調べたりする意欲が全く湧かず、このブログの更新がかなりおろそかでした。先日の学会報告の際に様々な方と知り合い、学会発表後に様々な方から質問をいただいたりして、刺激を受けいろいろ考えることが増えて来ました。学会はこの歳にして、しかもあのような小さな学会にもかかわらず、久々の公の場での研究報告で緊張したのですが、コンスタントに学会で自分の研究を発表していろいろ刺激を受けることは大事だとよくよくわかりました。論文執筆も大事ですが、そのためのモチベーションをいただいたり立ち止まって客観的に自分を見直す機会にもなるし、一人では絶対に行き詰まるので。振り返ってみても、良く学会で発表している年のほうが良く論文を書いているように思います。昨年度はいろいろあって学会発表より論文執筆を、と思っていて学会発表を控えていましたが、投稿した論文はゼロで、学会発表は3件のみでした。一昨年はすごくて筆頭論文で5本投稿していますが、学会発表は10件になります。。。

さて、表題の件で学会で友人から説明を求められ説明をしました。以前にこのブログでも忘れじとメモをしていました。http://d.hatena.ne.jp/ttogari-tky/20100804/1280895804改めて今読むと、その通りだなあと思うのですが、その時はもっと単純に、resilienceは回復力、いわばストレス耐性一般を指し、sense of coherenceは特殊な生活/人生観を指している、ということになると説明しました。ある研究で、resilienceを測定する指標としてSOCスケールを使用しているものがありました。これは必ずしも間違っていないと思います。resilienceがストレス耐性一般を指す幅広い概念である以上、ストレス対処機能をもつ生活/人生観であるSOCを援用するのは間違っていないと思います。しかし、こんな研究はありませんが、SOCを測定するためにresilienceスケールを用いた、というのは間違い(のはず)です。
resilienceは英単語で回復力とか弾性力といった意味で、ストレスに抵抗する力を意味することは英語リテラシーのある人であれば誰でもわかりますが、sense of coherenceと言って抵抗力を思い浮かべる英米人は多くないはずです。ちなみに、sense of coherenceは山崎先生によって首尾一貫感覚と和訳されていますが、小田博志先生はコヒアレンス感と訳していたように記憶しています。優劣は置いておいて、首尾一貫という言葉ではSOCの意味が日本人には通じにくい部分があってあえて小田先生はコヒアレンスと原語をカタカナにしているのだと思います。コヒアレンスは、昔物理学用語として習った気がしますが、日本語で一貫性という捉え方で良いと思います。何が一貫しているのかが想起できるかが問題で、空間的にも時間的にも、さらに自己の内と外が、ということにもなると思います。