sense of coherenceスケールの下位尺度別の利用について

SOCスケールを下位尺度別に使用できるのか、という質問を良く聞きます。先日の公衆衛生学会の自由集会でもでましたし、昨年の学会でも出ましたし、私が以前に発表した学会でも下位尺度別にどうなっているのか、という質問を何度もうけました。
答えは可、ですが、限定もあります。例えば、尺度開発という観点における問題です。SOCの構成概念妥当性の検討は進んでいますが、例えば、下位尺度別で、予測妥当性があるとか、メンタルヘルスとの併存妥当性が存在しているとか、交差妥当性とか、そういった検討は行われていないのが現状です。因子妥当性が認められているので、上位因子であるSOC自体が妥当性があるため、下位尺度である3つのスケールも、、、というような形になると思います。内的一貫性や安定性は認められています。
下位尺度別の検討に向いていない、元々一つの因子を念頭につくって、因子構造の確認の意味で3つの下位概念の属性をつけたが、別熱に使う目的ではなかった、というようなことをAntonovskyが言っていたと思います。これは、探索的な因子分析では、全く持ってきれいに3因子にわかれなかったからです。それはそのはずで、以前の記事に書いたとおり、マッピングセンテンスによって構成された影響です。http://d.hatena.ne.jp/ttogari-tky/20100816/1281959995
2000年以降は確証的な因子分析を用いた検討は相次いでいて、因子構造については、ほぼ問題ないという位置づけになっていますが、ただし、処理可能感と把握可能感の相関は極めて高くなっています。この問題については、今後の課題ですが、例えば、以下のような論文もあります。http://www.jsph.jp/library/docs/2005/01/52-1-a34.pdf
また、私は、Feldt氏の提唱する11項目バージョンでの検討も行ってみました。http://www.jstage.jst.go.jp/article/jshhe/74/2/71/_pdf/-char/ja/
11項目だと、ある程度問題がクリアできるのですが、私の検討の結論では、13項目も11項目も、因子構造の点では大差ないということにしています。
11項目を提唱したFeldt氏は、最近13項目でも大丈夫、というような論文を出しています。いずれにせよ、現段階では13項目版の因子構造は確認されていて使用においては問題ない、下位尺度として抜き出して使用するのも、特に問題はないというのが結論です。

本項は因子構造の観点からの記述にとどまりましたが、なぜ下位因子を取り出して検討する必要があるのかについては項を改めて記載したいと思います。