SOCへの介入研究

先日東大で行われたSOC研究会で
Forsberg KA, et al., Influence of a lifestyle intervention among persons with a psychiatric disability: a cluster randomised controlled trial on symptoms,quality of life and sense of coherence, Journal of Clinical Nursing, 19, 1519-1528, 2010.
の報告を行いました。

色々忙しさにかまけて、最近の論文をぜんぜん読んでいないことに気づいて、発表させてもらった次第です。
介入研究の成果報告が近年増えてきていて、その関連の研究ですが、ここまでSOCに変化が生じた、という研究は過去に見られないのではないかと思って、驚きました。
しかし、この研究の著者たちは本来はQOLの向上を狙ったのであって、SOCの向上は副次的な位置づけでした。
しかも、QOLに関しては変化が見られず、なぜかSOCだけ大きく上昇しておりました。著者たちは大変にがっかりしていただろうと思います。

ただ、SOCがこれだけ上昇した、というのは、一体どうしてなのか、考察にはあまり記載されていませんでした。むしろ著者たちにとってはメインの結果でないので仕方ないのかもしれませんが。

介入は、1年間続き、週に2回程度のプログラムに参加する、というものでした。
Salutogenicなプログラムではありません。
方法を見るに、おそらく、小グループでの活動が多く、グループ内での絆が深まったこと、グループで勉強し、議論しながらの、生活実践を行うことの繰り返しを通じて、いろんな意味での自信が醸成され、1年間の活動への有意味感もまた得られたのかもしれません。

山崎先生たちの東大のグループで行っているCDSMPというプログラムにおいても、SOCスコアが上昇していたり、河合薫さんのストレスマネジメントプログラムにおいても上昇した、という報告があって、このところ、SOCがプログラム介入によって上昇した、という報告が相次いでいて、SOCへのSalutogenicな介入プログラムが本当に実現しそうな勢いになってきました。

報告資料(図表は本文のものを参照ください)
2_01012SOC研介入.pdf 直