私たち(SOC研究会関係)が制作したSOCに関する書籍について

思春期のストレス対処力SOC タイトルは「思春期の」となっていますが、思春期を対象とした調査に基づいて、SOCの形成・発達の理論について整理し、一部検証を試みた書になっています。SOCの形成や発達、あるいは向上について関心がある方にとっては大変役に…

サイト移転

2019年2月末のHatenaDiaryのサービス終了に伴って、HatenaBlogのほうに移動しました。 リンクなども切れてしまっていましたが(ファイルのアップロードができなくなったため、別のストレージにリンクを貼りなおしています)、一部復旧させています。 ここ数…

各種SOC尺度について

13項目版SOCスケールについては、現在日本人における標準化の検討を行っております。 その一部について、日本公衆衛生学会誌に掲載されていますのでご報告します。 http://kurasi.hatenablog.com/entry/2015/08/20/152826 (調査報告のページへ)3項目版SOC…

SOCスケールの使い方に関するサイトができました

以前より繰り返しご案内してきましたアントノフスキーによるSOCスケール日本語版(29項目版および13項目版)の使い方について、webサイトがオープンしましたのでご案内します。 http://hlth-soc.net/soc/ SOCスケールの使い方や問い合わせについては、そのサ…

第33回日本思春期学会

8月30日に第33回日本思春期学会学術集会でシンポジウムがあり参加してきました。 今回の学会はテーマが「思春期の健康生成-pathogenesisからsalutogenesisへ‐」で、メインシンポジウムも「思春期における健康生成論とSOCへのアプローチ」と言うテーマでした…

第87回産業衛生学会の自由集会

5月21〜24日に岡山で第87回産業衛生学会(http://www.convention-w.jp/jsoh87/index.html)が開催されます。 産業衛生学会は、会員数も数千人だったと思うのですがかなり大きな学会で、地方会組織がしっかりしていて地方会ごとに年次学会をしているほか、毎…

SOCスケールについて

アーロン・アントノフスキー氏によって作成されたSOCスケールの日本語版についてです。 昨年よりSOCスケールの使用方法について検討を進めていますが、まだ結論が出ていない状況に有ります。 基本的に2014年4月の段階ではこれまで通り、日本語版の訳者代表で…

第21回IUHPEでの健康生成論やsense of coherenceの取り上げ方について(最後)

最後に、今後の課題について考えたことを示していきます。 第1には、SOCの形成やSOCへの介入に関する研究・検討の蓄積の必要性です。これはSOC自体をプライマリアウトカムとして捉え、どのようにSOCが向上する形で介入を行えばよいのかに関する取組みで、れ…

第21回IUHPEでの健康生成論やsense of coherenceの取り上げ方について(その5)

以降は、今回の会議で感じた私の個人的な感想を述べたいと思います。 今回第21回の会議における健康生成論とSOCの位置づけを考えると大きく2点が考えられました。第1に健康生成論やSOCに関する研究の潜在化です。つまり、これまでは、その学問的立ち位置…

第21回IUHPEでの健康生成論やsense of coherenceの取り上げ方について(その4)

8月26日午後の、組織の健康開発のための能力形成に関するシンポジウムでは、Bauer氏により仕事の要求(Job demands)と資源(Job resources)のモデルの解析結果の報告があり、要求量と資源量の「比」、およびWork related sense of coherence (Work-SOC)の…

第21回IUHPEでの健康生成論やsense of coherenceの取り上げ方について(その3)

(昨日の続き)オーストリアのPelikan氏は、WHOのヨーロッパ支局が出しているという、「ヨーロッパ地域の非感染性疾患(NCD:脳卒中や癌、心疾患、糖尿病、高血圧症など、生活習慣病を含む細菌感染によらない疾患の総称)対策のアクションプラン」における、…

第21回IUHPEでの健康生成論やsense of coherenceの取り上げ方について(その2)

前回第20回世界会議では、Bengt Lindström氏らにより、会期中連日午前午後にわたりシンポジウムやワークショップやパラレルセッションが行われており、会議全体が「健康生成論」一色という状況でした。しかし今回では健康生成論関連の報告は8月26日の一日に…

第21回IUHPEでの健康生成論やsense of coherenceの取り上げ方について(その1)

昨年8月にInternational Union for Health Promotion and Educationという国際組織の3年に1度の学術集会がありました。この学術集会は、3年前にこのブログでも取り上げた会で、ヘルスプロモーションの基礎として健康生成論とSOCが大々的に取り上げられてい…

SOC研究会とポジティブサイコロジーの会

これまでになく日記の間隔がはなれてしまいました。例年4月から6月は様々な授業があるのと、今年は新たに非常勤講師が増えた関係でかなりテンパっており、全く持って研究らしい研究もできず、準備にいそしむ一方で憤慨した日々を送っていました。 そんな中で…

サルートジェニック・カフェの取り組みを聞いて

聖路加Positive Psychology勉強会に参加して来ました(http://positivephealth.blogspot.jp/)。筑波大学の産業医学の平井先生のご報告でした。以前に公衆衛生学会の自由集会でご紹介頂いたものの、その後、というような位置づけでした。ある企業の従業員ほ…

健康生成論とsense of coherenceに関する講演・討論会のお知らせ

来る3月2日に筑波大学文京キャンパスで、標記の会が筑波大学の産業精神医学の先生達の主催で行なわれます。 私も、最近報告している研究結果からいくつかを報告する予定です。筑波の先生方や坂野先生が中心になって共同研究をしているLangeland先生をお招き…

第71回日本公衆衛生学会と自由集会「健康生成論とストレス対処力SOCに関する学習・交流会」

すでに1か月以上経ってしまっているのですが、第71回公衆衛生学会の自由集会について忘れ去る前に記録しておきたいと思います。今年の日本公衆衛生学会は山口で行われました。山口市は合併で県下第2の都市になりましたが、その前は第3位の人口規模で、全国で…

ストレス対処能力SOCの増刷

有信堂高文社から刊行されている「ストレス対処能力SOC」が、お陰をもって増刷になりました。 修正点は執筆の先生方の所属と、第1章に13項目7件法SOCスケールを掲載したことと、最低限度の修正に留めた理由と今後について、編者一同ということで、増刷によ…

sense of coherenceの由来について

アントノフスキーがSOCを発見したのは強制所収容所から生還した人たちから、という誤った言説がはびこっているようです。問題なのはこれを根拠にしてSOCはこうしたトラウマティックで過酷な経験において意義のあることで、日常的なストレッサーにおいては役…

HardinessとSense of Coherence

KobasaのハーディネスとSOCとの違いについて、先日の第7回「こころの健康と経営戦略」フォーラムのシンポジウムの打ち合わせのときに話題になりました。http://d.hatena.ne.jp/ttogari-tky/20121107 SOCとなにが共通しなにが違うのかというところで整理して…

第7回「こころの健康と経営戦略」フォーラム

先月10月19日に関西福祉科学大学のEAP研究所(http://www.eap-ins.com/index.html)が主催する第7回「こころの健康と経営戦略」フォーラムに参加して参りました。テーマは「打たれ弱い若年社員への成長支援〜若年社員の成長支援を考える」で、今回は基調講演…

10月のSOC研究会

10月、11月は5月6月と並んで多忙な時期で、今年は講演&シンポジウムや公衆衛生学会など、様々なイベントがありました。その都度書いていかないと、何があったのか忘れてしまいそうで、そのためのこのブログであったのですが、忙しさにかまけてさぼり気味で…

optimismとsense of coherence その3 〜optimismの応用可能性について

先日の聖路加Positive Psychology勉強会で報告したことの感想の続きです。資料は以下のサイトにあります。http://positivephealth.blogspot.jp/2012/10/optimism.htmlCarver CS, Scheier MF, Segerstrom SC. Optimism. Clinical Psychology Review, Volume 3…

optimismとsense of coherence その2 〜optimismの測定について

昨日に続いて、聖路加Positive Psychology勉強会で報告したことの感想の続きです。資料は以下のサイトです。 http://positivephealth.blogspot.jp/2012/10/optimism.html Carver CS, Scheier MF, Segerstrom SC. Optimism. Clinical Psychology Review, Volu…

Optimismとsense of coherenceその1 〜Optimismの理論について

先日聖路加のPositive Psychologyの勉強会があって、Optimismの報告をしてきました。 http://positivephealth.blogspot.jp/2012/10/optimism.html 論文は以下です。 Carver CS, Scheier MF, Segerstrom SC. Optimism. Clinical Psychology Review, Volume 30…

EAP研究所の「こころの健康と経営戦略フォーラム」基調講演と公衆衛生学会自由集会

来る10月19日に、関西福祉科学大学附属EAP研究所の「こころの健康と経営戦略フォーラム」の基調講演をすることになりました。 http://www.eap-ins.com/event.html 実務者向けとのことで、わかりやすくSOCについて解説してほしいとのこと、努力したいと思って…

臨床の知と健康生成論

8月18日に、合同院生ゼミを札幌で行いました。このゼミでは、同僚である本学の井出先生の提案で、中村雄二郎著の「臨床の知とは何か」(岩波新書、1992年)を朝から晩まで一日かけて抄読する、ということをしました。この本は、その昔私が浪人生のころに、医…

6月のSOC研究会に参加して

6月30日にSOC研究会があり、参加して参りました。3題ともに健康職場とSOCというようなテーマで、心理社会的職場環境とSOCとの関係について検討したものです。 はじめの益子さんの報告では、いろいろ分析をしているようなのですが、追跡データで、職場におけ…

SOC研究の難しさ(その2)

難しさその2. SOCスケール得点の絶対的な評価が定まっていない SOCスケールは内容的妥当性もあり、信頼性もあり、構成概念妥当性も明確となっている尺度ですが、尺度得点の絶対的な意味については明らかになっていません。つまり、SOCが1点上がることが客観…

SOC研究の難しさ(その1)

私の修士課程の院生がSOCを研究テーマにしたいと言って来て、話を聞いていながら、SOCを扱った研究とその難しさについて色々考えることがありました。忘れないうちに書き留めておこうと思いました。自分も学位論文審査の時や、学会などで、色々言われたこと…