SOC資本?(1)

私が修士課程に進学した年に、そもそも健康社会学という学問自体がどのようなものなのか良くわからなかったので、学部3年生向けの健康社会学と言う授業に参加しておりました。
山崎先生と田村誠先生が授業を担当されていて、その年に刊行予定の健康と医療の社会学という教科書のコピーが配られてそれに従って授業が行なわれていました。興味を持ったのは、医療者患者関係に関する理論や、医療化と専門家支配の部分や、スティグマに関するところなど、いわゆる医療社会学的な部分でした。ただ、東大の健康社会学教室での研究では、こうした理論を念頭に置いた研究と言うよりも、対象論というか、対象者の理解と、支援と言うことがまずあって、その理解を深めるために、こうした医療社会学などの理論を援用するという態度がありました。障害や病気を持った対象へのアプローチについて自信がなかった私は、ここでやっていけるのだろうかと、かなりしり込みをしていたのでした。
SOCの話も出てきて、こちらも興味深く聞いておりました。総じて健康社会学とは、それまで私が学んでいた看護学と大きく違う点として、大変に理論志向で、しかも理論的には発想の転換というか、広い意味でのパラダイムシフトや、目からウロコといった部分を、対象への支援策と同時に追究していく領域なんだろうなと、おぼろげながら理解した記憶があります。これまでのようではだめなんだ、という支援策の策定への訴えかけをサイエンティフィックに進めて行くということでしょうか。
そのような中で、単位取得のためにレポート課題を出すこととなり、3つの章を選んで、その内容について考えたことや感想などを書けと言うような課題であったと思います。ひとつは、医療化の部分、もうひとつは医療者患者関係の部分、そしてもうひとつがSOCの部分について書きました。ちなみにレポートを提出したとき、山崎先生に、「おたくのレポートを読みましたが、大器晩成という感じですねえ、私も昔はいわれたもんですが」と言われたのを覚えています。。。どんな反応をして良いのか困った記憶があります。。。
他の部分についてはどんなことを書いたのかあまり覚えていないのですが、SOCの部分のレポートの内容はおぼろげながら覚えています。
ここで書いたのが、SOC資本という、一見して何のことだかよくわからない論を展開していたのでした。専門用語について良くわかっていない当時のこと、知っている言葉をならびたてて論じていたようにも思います。(続く)