3項目版sense of coherence(SOC3-UTHS)の使い道

SOC3-UTHSの使い道としては、以下の5つが考えられます。

  • 大規模多目的調査の中に入れてもらいたい・・・当初作った目的はこのためでした。
  • 高齢者のSOCを測りたい・・・13項目でも高齢者は途中で嫌がってしまうことが多いそうです。半分も答えてくれなくてSOCを欠損にするよりも、短くても完全に答えてもらって欠損を減らしたい、という場合です。
  • 病気や障害などを持っている方が対象で、長い質問紙は避けたい・・・上記の高齢者の場合と似ています。対象者の負担を考慮してSOC13項目は少しきつそうだ、という場合です。
  • 試しにSOCをとってみたい・・・本来の目的の中にはSOCはないが、SOCをとることでまた別の角度からの検討もできるかもしれないと思えるような、二次的な扱いを考えている時。山崎先生のCDSMPはこの位置づけであろうかと思います。
  • トライアル調査として、SOCの動きを確認してみたい・・・上記に似ていますが、プレテストやトライアル調査などを検討していて、あまりSOCについてはモデルの中心に据えられていないことが条件かもしれません。もし余り結果が芳しくなければ本調査ではSOCは入れない方向になるような場合です。

 SOC3-UTHSが13項目版SOCの副次的な位置づけとならざるを得ないのはやむを得ないと思います。むしろ、これまでの13項目であればSOCを扱うことをあきらめてしまうことが多かった調査でもSOCを測定できるような、SOC研究のハードルを下げることに一役買うのではないか、とも個人的には思っています。
 しかし、13項目版SOCスケールは完全無欠かと言うと必ずしもそうではありません。以前にも書いたように、13項目版SOCスケールの問題点も以前から色々言われていて、このほども新たな論文が出たようです。
Blom ECH, Serlachius EC, Larsson JO et al. Low Sense of Coherence (SOC) is a mirror of general anxiety and persistent depressive symptoms in adolescent girls - a cross-sectional study of a clinical and a non-clinical cohort. Health and Quality of Life Outcomes 2010, 8:58.
また項を改めて論じていきたいと思います。