第21回IUHPEでの健康生成論やsense of coherenceの取り上げ方について(その4)

8月26日午後の、組織の健康開発のための能力形成に関するシンポジウムでは、Bauer氏により仕事の要求(Job demands)と資源(Job resources)のモデルの解析結果の報告があり、要求量と資源量の「比」、およびWork related sense of coherence (Work-SOC)の存在が、よりその関連性を解釈する上で有効な要素となる可能性について言及されていました。
そして、同じシンポジウム内で、スイスのVogt氏は、Work-SOCの開発と報告を行っていました。Work-SOCは9項目から成る7件意味微分法による測定の多項目尺度で、あなたの現在の職業や仕事の状況をどの程度主観的に把握しているのかについて聞いたものです。項目の例としては、管理できる―管理できない、予測可能―予測不能、などの項目があります。(この尺度については、前回第20回の会議でBauer氏によって報告されていました。)
実証研究の結果、ソーシャルサポートやコントロール度を含む仕事上の資源と、ワークエンゲイジメントとの関連性において強力な媒介効果があることが報告されていました。こうしたことからも、実践的にも健康生成的な労働条件の質を評価する方法として位置づけられ、組織的介入の必要度の評価にも使用できるであろうと結論づけられていました。
この資源とSOCとの関係について、ここまで厳密に測定して実証している研究はこれまでにないのではないかと思いました。
この厳密さと、健康生成モデルにたいする誠実な姿勢がとても共感を呼びました。