2月18日の研究会参加

2月18日にはSOC研究会があったのですが、別で携わっている調査の関係でお休みさせていただきました。昨年12月の会議はセミナーと同時開催と言う形だったので間が空いていて行きたかったのですが残念でした。
私が伺ったのはHIV/AIDS看護学会という学会(研究会のような小さい規模のものですが)でした。シンポジウムでアディクションHIV看護というようなテーマで講演があり、SOCの研究でも有名な松下年子先生と大阪医療センターの矢嶋敬史郎先生がご講演されていました。アディクションについて私はあまり良く知らなかったので大変に勉強になりました。「依存」という、医学でいう「依存症」のような疾患とは別の概念で解説されており非常にわかりやすかったです。アルコール依存やギャンブル依存や薬物依存などの根っこはすべて等しく、「依存」の傾向が強い人はどこかに向かい、アルコールを断てば、ギャンブルへ、ギャンブルを断てば、薬物へ、薬物を断てば、摂食へ、食を断てばセックスへ、など根本的な傾向があると言うお話でした。パーソナリティ的な概念のようにも聞こえました。事例報告もあり、MSMのHIVの患者で依存傾向にあるという話で、例えばキチンと外来受診をし仕事も病気を隠して続けているが、何かストレスがあるとその発散でついハッテン場に行ってしまいそれがクセになってしまっているとか、薬物を使ってしまうとか、異常な(身体的負荷の多い)性具にはまってしまうとかそういった、その依存傾向は心理的ストレスとすごく関係があるように思われました。はけ口というとあまり明確ではないのですがストレッサー処理の資源に乏しいのか、柔軟性に欠く、あるいはSOCが低いのか、自尊感情というより自己肯定感が低いのではないか、という話も聞きました。
問題は、その会議に参加していた看護師や医師の方々がとにかく困っていて、どうして良いのかわからない、誰か教えてほしい、ということを聞くのですが、誰もその明確な回答を述べることができないという事態に陥っていると言うことでした。唯一、患者と看護師とが共依存関係に陥っていることが多くあり、冷静に距離を保つことが大事だということぐらいでした。そのためにも患者把握が必要で、患者の二手三手先を読んで対応する必要があると。その場で受け入れてもらうことだけを考えるのは良くないと。そのような抽象論にとどまってしまう状況であることでした。
今度こういったHIV陽性患者の追跡調査を行なうのですが、恐らく汎抵抗資源やSOCがキーワードになってくるのではないかと思いました。そしてこうした患者のストレッサーやリソースに関する部分の詳細中心として患者把握のための手がかりをつかむこと、看護師や医師など医療従事者がどのように関わって行くのか、二手三手先を読むことができるような患者像を把握すること、この検討が急務でありきわめて必要であることが良くわかりました。