SOCスケールの高校生、大学生への適用について

SOCスケールの信頼性と妥当性

 これについては、これまで私は高校生、大学生を相手にして、さんざんSOCの検討を行って来ていますが、ある意味適用できることを前提として研究をして来ました。
 すくなくとも、海外では、中学生から13項目版のSOCスケールを使用している例がありますし、大学生が回答するのはざらにあります。統合すると、構成概念妥当性は見られていると思います。Erikson & Lindstromも大学生の検討を含めて結論づけていたと思います。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1757043/pdf/v059p00460.pdf
ちなみに私自身、日本の大学生を対象として追跡調査を行い、以下の論文を書きました。
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jshhe/74/2/71/_pdf/-char/ja/
 我が国でも構成概念妥当性はあると思います。

SOCスケールの内容妥当性

 ただ、本当に彼らに回答できるのか、という内容妥当性のレベルから考えていくと、あまり自信がなくて、おそらくわかるんじゃないかなあ、と思う程度なのですが。。実際のところどうなのでしょう?
 彼らにとって回答することは難しいことは確かでしょうが、大人と違って各項目の質問に対してあまりはっきりとした答えが出ていないので難しいのではないかとも思います。はっきりした答えが出ていない、というのは、スコアとして中間、7件法なら4点でしょうか。逆に全体的に低いというのも、ある意味答えが決まっているということなので、あまり多くないかもしれません。これは、通常の一軸の尺度計算とは違う動きをするものかもしれないです。

SOC形成期にある人のスコアの捉え方案

 つまりこの高校生とか大学生を対象としているときには、連続変数として扱うのではなくて、カテゴリとして扱うと、例えば、高(決まっている)、中(決まっていない)、低(決まっている)という人生観の定まりの程度も反映されて、随分違った動きを見せる可能性もあるのかなとも思いました。中という程度の人は、大人の場合は、あえて中途半端に言っているかもしれないのですが、高校生ぐらいだと良くわからなくて定まっていないから中になっているのかもしれません。こうした前提で検討を加えるということもしていかないと行けないのかなあと。細かいのですが、彼らのSOCを考える上では通らざるを得ない分析かもしれません。すでに高校生のSOCに関する本の原稿は脱稿してしまったので、別の機会で書くしかなさそう?でもマニアックな検討なので、一般向けではないですね。